何度か断ったけれど、先輩がいっこうに折れようとしないので、あたしはお言葉に甘えて送ってもらうことにした。
先輩にあたしの家のだいたいの場所を伝える。
「思っていたよりも近いね、君の家。」
「そうなんですか。」
「うん。想像ではもう少し遠かった。」
「そうなんですね。」
それ以上先輩がなにか話すことはなく、あたしたちの間に沈黙が流れる。
それが気まずくてなにか話そうとするけれど、あたしたちの間に共通の話題などない。
なにを話せばいいの・・・?
「そんなに気まずい?」
先輩が急にそんなことを聞いてくる。
「え?」
「顔にそう書いてる。」
「えっ?」
そう言われ、思わず手で顔を覆う。


