「僕の家。」
「はい?!」
「あ。いや、家って言うよりかはアトリエかな。」
「アトリエ・・・ですか?」
「うん。
それなら服を持ってこなくていいし。
ほら、早く。行くよ。」
彼はもう準備万端で、歩き出していた。
あたしも慌てて後を追うけれど、少し不安な気持ちもあった。
婚約者さんって呼ぶのが正しいかはわからないけれど、とりあえずそう呼ぶことにした。
婚約者さんがいるから、別に何をしてくるわけでもないと思うけれど、男の人の部屋に入るのは初めてだった。
「どうぞ。」
ついたのは学校から徒歩10分程度のアパートだった。
部屋に入るよう促され、言われるがままにお邪魔する。


