放課後になった。
授業中、答えられなかったときは、放課後あの人に怒ってやると思っていたけれど、
もうそんな気は少しも無くなっていた。
よく考えれば復習してなかった自分が悪いってわかったし。
あたしが答えられなかったのに、あの人が悪いわけないし。
「失礼しますー。」
図書室はいつもどおりの静けさを保っていた。
けれど、テストが近づいてきているせいか、いつもいても1人や2人の生徒が、今日は十人程度に増えていた。
テストの前は、教室や自習室で勉強して帰る人のほうが多いけれど、図書室勢も少なからずいる。
「先輩。」
あたしはいつもどおり、一番奥の席へ向かった。
周りに本棚があって、ここだけ隔離されたスペースのようで、
そこにはいつものように先輩が1人、机に向かっていた。
「来たんだ?」
「はい。」
「今日は人がいるから、移動するよ。」
「移動?どこにいくんですか?」


