そのやさしい顔に見惚れてしまっていただなんて、そんなことがあるはずがない。



「なら早く着てくれる?」



「あ。はい。」



彼はあたしから机のほうへと向きを変え、また熱心に何かをかき進めていた。



「着ましたよ。」



彼の背中に声をかけると、彼がゆっくりと振り返る。

そしてあたしをじっくりと見た後、一度だけうなずいた。

なんかこうやってじっくりみられるの恥ずかしい・・・。



「もう脱いでいいよ。」



何か感想はないのか。

そういう考えが脳裏をよぎったけれど、服をほめるのは自画自賛になるし、あたしをほめるはずないし・・・。

反応なんてこんなものだよね。



「はい。」



服を脱いで彼に渡す。



「君はもう帰っていいよ。」



「あ。はい。」



やっぱり“ありがとう”はないんですね。

はいはい。わかってましたよ。

別に期待もしてなかったし。