「それはまあいろいろあって……。
けど連絡先さえ知らないし、そこまで先輩のこと知ってるわけじゃないよ。」
「そうなの?」
「うん。
それに私、今は恋愛とかいいかなぁって。」
「そうだよね!やっと勉強から解放されたんだもん。まずは私といっぱい遊んで貰わないと!」
「ふふ、そうだね。いろんなところに行こう。」
希々とは元々、頻繁に一緒に出かけるほど仲が良かったけど、高校生の頃は物理的に距離があったため、なかなか一緒に出かけたりはできなかった。
だからそのぶん、一緒にやりたい事は溜まっている。
「ねぇ、このまま服買いに行かない?」
「え、スーツだけど……。」
「いいじゃーん!
服はどうせどこかで買うだろうし、久々に梨々と双子コーデとかしたい。せっかく双子だし。」
「仕方ないなぁ。」
「やった!」
希々は思ってることが顔に出やすいタイプで、毎回楽しみすぎる!って顔で誘ってくるから、可愛くて断れない。
同じ顔のはずなのに、なんでかなぁ。
「じゃあ行こっか。」
「行こ行こ!!どんなの買う〜?」
私たちは家がある方向とは違う方向へ行く電車に乗る。


