次の日。


休む前までと何も変わらないといった様子で、
先輩は終始笑顔で、新海さんを教室まで送り届けていた。



「先輩元気になったみたいだね。」



「そうだね。」



「お見舞い行ったんでしょ?」



「うん。一応。」



「で。なにか進展は?」



「進展は特にないよ。
・・・まあしいていえば、振られた。」



「えぇ!?」



「ちょ、声大きい。」



「あ。ごめんごめん。」



佳奈は、意味がわからないと驚いた様子だった。



「五十嵐先輩と梨々、結構いい雰囲気だと思ってたのになぁ。」



「いやいや、そんなこと全然ないよ。」



「そうかなー?」



「うんうん。」



だって、五十嵐先輩は、新海さんが好きなんだから。

あたしのことなんて、眼中に無いに決まってる。

あたしに気持ちが揺れることなんて、そんなこと万が一にも起こりえないし、
もし、もしあったとしても、先輩は最終的に新海さんを選ぶに決まってる。