あのふたりはどんな関係なんだろう?
「あのふたりって、どんな関係なのかな?」
佳奈があたしが思っていたのと同じことを口にした。
「さぁ。わからない。
でも、すごく仲がいいんだろうね。」
「だろうねぇ。」
「いいなぁ。
新海さんが羨ましい・・・。」
はっ。何を言っているんだろう、あたしは。
そう気づいて口をおさえたときにはもう遅くて、隣で佳奈がニヤニヤしていた。
「やっぱり梨々って、五十嵐先輩のこと好きなんだ?」
「え。いやいやいやいや、そんなことあるわけないよ。」
「えー?そうかなぁ?」
恥ずかしくなってきたあたしは、ニヤニヤが止まらない様子の佳奈を放って、鞄を持って教室を出る。
「梨々待ってー。」
佳奈が慌てて追いかけてきてあたしの隣に並ぶと、その日はもうそれ以降、五十嵐先輩の話をすることはなかった。


