ふたりで喜びながら教室へ向かう途中、見覚えのある背中を見つける。
五十嵐先輩・・・?
「あの人、五十嵐先輩じゃない?
でも車イス押してるみたいだね?」
「うん。」
「声かけてみなよ、梨々。」
「いやいや、いいよ。」
「聞き覚えのある声だと思ったら、やっぱり高木さんだ。」
先輩が足を止めて振り返る。
「どうも。」
先輩は車イスの前に回り込む。
しゃがみこんで座っている人に少し声をかけた後、車イスをくるんと回転させ、こちらに向けた。
座っているのは綺麗な女の人だった。
「陽華。同じクラスの子たちだよ。」
「はじめまして。新海陽華です。」


