陽華に早く会いたい。
陽華。
陽華・・・。
タクシーで病院まで行き、降りると同時に走って病室へと向かった。
ガラガラガラッ
「陽華っ。」
急いで陽華のそばに駆け寄る。
陽華は困ったような顔をして、僕を見つめていた。
「幸樹。」
父さんに肩を叩かれ振り返ると、思わぬ言葉を聞いてしまう。
「陽華さんは、記憶が欠けているみたいだ。
幼い頃の記憶しかないようで、顔があまり変わってない私たちはわかるようだが、幸樹のことは認識しているかわからない。」
「そう・・・。」
どうやら小学校入学以前の記憶しかないようで、僕のこともわからないみたいだった。
まあ1歳前後の僕と今の僕を見て、一瞬で同一人物だとわかるなんてこと、なかなか難しいことだもんな。


