社長の言葉に喜田さんが拗ねたように言う。
「社長と蘭子様が仲違いされているから、私め十五年も長きの間、東條寺家を離れることになったんですよ」
聞けば、家を出る蘭子さんに「喜田を連れて行って欲しい」と社長は懇願したそうだ。おそらく監視のためだろう。
それは飛んだとばっちりだ。
可哀想な喜田さん。
「悪い悪い。蘭子さんがこんなに頑固だとは思わなかったんだよ。本当、いつまでも魅力溢れる女性だ」
今のは惚気だろうか?
「――今回も期待はしておりませんが、精々、頑張って下さい」
喜田さんももう諦めているのか、その言い方は淡々としたものだった。
「それではお車の方に。これ以上遅れると蘭子様から連絡が入りますゆえ」
「もしかしたら、GPS? また探偵ごっこ?」
副社長が「止めてくれよ」と額に手を当て天を仰ぐ。
「奥様の唯一の趣味ですから」
探偵ごっことかGPSとか趣味とか、何それ?
「父さんと蘭子さんの本当の別居理由ってそれだろ?」
えっ? 結婚記念日を一日間違えたって話じゃなかったの?
「何だ、知っていたのか」
社長が苦笑いを浮かべる。
「社長と蘭子様が仲違いされているから、私め十五年も長きの間、東條寺家を離れることになったんですよ」
聞けば、家を出る蘭子さんに「喜田を連れて行って欲しい」と社長は懇願したそうだ。おそらく監視のためだろう。
それは飛んだとばっちりだ。
可哀想な喜田さん。
「悪い悪い。蘭子さんがこんなに頑固だとは思わなかったんだよ。本当、いつまでも魅力溢れる女性だ」
今のは惚気だろうか?
「――今回も期待はしておりませんが、精々、頑張って下さい」
喜田さんももう諦めているのか、その言い方は淡々としたものだった。
「それではお車の方に。これ以上遅れると蘭子様から連絡が入りますゆえ」
「もしかしたら、GPS? また探偵ごっこ?」
副社長が「止めてくれよ」と額に手を当て天を仰ぐ。
「奥様の唯一の趣味ですから」
探偵ごっことかGPSとか趣味とか、何それ?
「父さんと蘭子さんの本当の別居理由ってそれだろ?」
えっ? 結婚記念日を一日間違えたって話じゃなかったの?
「何だ、知っていたのか」
社長が苦笑いを浮かべる。



