ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「早くそうなりたいんだがね。生憎、彼女のガードが堅くてね」

副社長が苦笑いを浮かべる。

「では、そちらのお子様は?」
「彼女の甥御さんだ」
「おお、そうでしたか、それは失礼しました」

「でも……」と言いながら喜田さんが私をジッと見る。

「拓也様を袖にする人が現われるとは……いやはや、長生きはするものですね」
「そうだよ。喜田、もっともっと長生きして僕の子の顔も見てくれよ」

そう言いながら副社長が私を見る。

「おお、やっと男性から卒業されたんですね」
「だからぁ、それは誤解だって」

ここまでゲイ疑惑が広まっていたんだ。
慌てて誤解を解こうとする副社長だが、喜田さんは全く聞いていないようだ。

「蘭子様もお喜びになると思います。改めまして……」

そういえば、自己紹介をしていなかったと急ぎ始める。

「あっ、山本奈々美です。そして、瑞樹です。よろしくお願いします」
「私は蘭子様付きの執事、喜田と申します。よろしくお願いします」

深々と頭を下げる喜田さんに釣られ、同じように頭を下げていると社長が呑気に言う。

「本当は代々喜田の家は東條寺の執事だったんだけどね」