ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

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空港に着くと、迎えのリムジンがタラップの下に横付けされていた。

「卓様、拓也様、ご無沙汰しております。それに、剣持君も元気そうで何よりです」

初老の男性が見惚れるような美しいお辞儀をする。
その様相は『執事の見本』と言っても過言ではないほど……執事だった。

「喜田、お迎えご苦労様」

社長が愛想良く礼を述べると、喜田さんは口元をキリリと引き締めて社長に対面する。

「卓様、今回はどんな手を使われるか存じませんが、早く蘭子様を連れ帰って下さいませ」

どうやら喜田さんは社長の味方のようだ。

「私は毎回努力を惜しまず、蘭子さんのご機嫌を取っているんだがね、なんせあの蘭子さんだろう、手強いんだよ」

「喜田さん、心配は無用だと思うよ。父さんと蘭子さんの別居は一種のプレーだから、この距離が新鮮でいいんじゃないの?」

どんなプレーだと突っ込みそうになったが踏み止まった。

「ところで、そちらの方々は?」

喜田さんが私と瑞樹に視線を走らせ、「まさか」と顔色を変える。

「拓也様、ご結婚されたのですか? そして、そちらはお二人のお子様……」

「おー、ジーザス! 蘭子様がお知りになったら……」
「って、早合点しないように!」

副社長が喜田さんの妄想にストップをかける。