ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「瑞樹もだがお前もだ。初めて見たとき初めてじゃないような気がした」

浮上しかけた気持ちがまた下降し始める。

姉とは全く似ていないと思っていたが、他人から見るとどこか似たところがあるのだろうか?

こんな風に、今は亡き姉のことを覚えてくれていた人がいるなんて、凄く嬉しい。嬉しいけど……やっぱり胸の中がもやもやする。

「こんな話をしたのはお前が初めてだ。どうしてだろうな? お前には何でも話せる」

副社長が照れくさそうに笑う。
その顔にキュンと胸が躍る。

ああ、分かってしまった。
どうやら私は副社長のことを好きになってしまったらしい。

「どうした? 気味が悪いほどおとなしいな」

副社長がローテーブルを挟んで座る私の頭をポンポンと叩く。

「あれっ? 真っ赤だ。お前、とうとう僕を意識し始めたのか?」

ぐっと身体を乗り出してローテーブルに被さると、副社長は私に顔を寄せる。そして、両手で私の頬を押さえ、じっと私を見つめる。

「好きだ。嫁になれ」

彼の顔が近付き、唇が触れるか触れないかの距離で姉の顔が浮かびハッとする。

「イヤ!」

顔を背け、後方に身を逃すと震える声で言う。

「誰かの代わりなんて、絶対に嫌!」

込み上げる涙に自分自身が驚く。
こんなにも彼を好きになってたんだと……。