ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「だったら尚更ダメじゃないですか!」
「なぜだ?」
「なぜって、お嬢様たちだったら政略結婚を目論んで集められたのでは?」
「お前は本当に馬鹿だな」

副社長が溜息を吐く。

「我が社は建設業界では三本の指に入る大会社だ。格下と手を組んで何のメリットがあるというのだ。同等の新堂コンツェルンや株式会社鏑木建設ならいざ知らず」

ドグンと心臓が厭な音を立てる。新堂の名が出たからだ。

「だが、新堂の家とは犬猿の仲だし、どす黒い噂を纏った鏑木と手を組むことは絶対にない」

そう言えば……小金建設は鏑木建設と癒着していると噂で聞いたことがある。

「鏑木建設ってそんなに評判が悪いんですか?」
「逆だ。滅茶苦茶いい」

どういうこと?

「だが、それは表の顔だけ知っている人間にだ。裏の顔を知っている者たちは絶対に近付かない。なのに……小金の奴……だから翠花が……」

「えっ!」今、小金って言った? 翠花って言った? どういうこと?

「ああ、小金というのは小金建設のことだ。まだ新参の会社だが、昔はいい仕事をしていた」

――どういうこと? 噂と違う。

「でもな、儲かるに従い欲が出たんだろうな。鏑木の甘い言葉に騙されて利益ばかりを追求する会社に成り下がってしまったんだ」

そんな経緯があったんだ。