ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

彼の双眸が『悪事は全てお見通しだ』と言っている。
秘書補佐五人にもそれが分かったのだろう、顔面蒼白になる。

「あっ、誤解しないように言っておくが、これは噂なんかじゃない。ちゃんと調べた結果だ。なんならその報告書を見せようか?」

副社長がクッと唇の端を上げる。悪魔降臨……みたいな顔だ。敵に回したくないというのはこういう人のことをいうのかもしれない。

「予定では今月いっぱいまで置いておくことになっていたが……こういう事態だから、剣持、もういいな?」

壁の向こうから剣持さんまで現われた。

「仕方がありませんね。現行犯ですので。副社長の権限により貴女たちを本日付で解雇します。必要な書類に署名捺印をして、本日中に退職して下さい」

有無も言わさぬ物言いに、流石の秘書補佐五人も従わざる得ないようだ。
副社長と剣持さん、このペア……滅茶苦茶怖い!

***

「でも、本当によかったんですか?」

一日の仕事が終わり、瑞樹も就寝した午後十時。リビングでテレビを前にハーブティーを飲みながら訊ねる。

「当然だ。仕事ができない奴らを雇う義務はない。それに、あいつらは社長が寄せ集めてきた何処かのお嬢たちだ。仕事を失っても路頭に迷うことはない」