ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

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「何か文句でも?」

翌朝、ガン見する副社長にツンと顎を突き出す。

「ああ、ありすぎだ! そのダサいリクルートスーツは何だ?」
「社会人らしくと仰ったので」

このスーツは面接用にと家出してから買った物だ。量販店で売っている既製品で『イチ・キュッ・パ』だった。

「そんな服を着て我が社に来たら、余計に浮くぞ」

浮くとは……目立つということだろうか? それは困る。

「でも……これ以外、妥当と思われる服など持っていません」

ガラガラのクローゼットを思い浮かべる。

コネ入社をするつもりだったから就職活動など全然頭になかったし、第一、まだリクルートスーツを買う年齢ではなかった……と誰に言うともなく心の中で言い訳をする。

副社長はハーッとひとつ溜息を吐き、「仕方がない」と呟き瑞樹を抱き上げる。

「瑞樹ぃぃ、お前の保護者は実に頼りない。たぁ君が保護者の保護者になってやるからなぁ、もう心配はいらないぞ」

保護者の保護者ということは……私の保護者ということだろうか?

「そんなのいりませんから」と口を挟むと、「僕の言うことは絶対だったのでは?」と常套句を述べる。

彼の足が完治するまで我慢だ! とは言うものの本当、疲れる。