ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「相変わらずいい男ねぇ」

美和さんがモニターを見ながらピンクの溜息を漏らすと、桜子さんが呆れたように肩を竦める。

「剣持さんに言うわよ」
「いいわよ。ヤキモチを焼かれるのって大好き!」

そんな会話をぼんやり聞きながら、未だに剣持さんと美和さんが、ということが信じられない私はこの成り行きを呆然と見守るしかなった。

〈本日は我が社の新社屋披露パーティーにお越し下さり、誠にありがとうございます。司会者が申しましたように、パーティーを始めるに先立ちまして少々お時間を頂きたく思います〉

会場が一瞬響めく。それを副社長は手で制する。再度静まった会場を見回して副社長が口を開いた。

〈皆様にお伝えするのは二点〉

副社長が指を一本立てた。

〈まず、一点目ですが、我が丸東建設は長年のライバル会社であった新堂コンツェルンと業務提携を行いました〉

「おお!」と会場が響めきで揺れる。そんな中、一際大声で意義を唱えた者がいた。

〈嘘! 丸東建設は我が社と提携するんじゃなかったの!〉

カメラが声の主をアップで捉える。
楠木茉莉乃さんだ。

深紅のドレスを身に纏った彼女は、本日の主役は私だと主張しているように見えた。