ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

東條寺卓、その人だった。

「どっどっどうしてここに?」
「新社屋の披露パーティーだからね」

そうだった! 丸東建設の社長は彼だ。副社長のことばかり頭にあったのですっかり忘れていた。それにしても――。

「ここで何をしていらしゃるのですか?」
「何って? 瑞樹君の子守は私の役目だろ?」
「はい……?」

意味が全く分からない。『だろ?』って、あれは北海道旅行の時のことだったよね? いまだ続行中?

「蘭子さんがね、それだったら来てもいいって言ったんだ」

――そうだった。このホテルは蘭子さんのホテルだった。しかし……どういうこと?

「考えるのは後にして!」

桜子さんの声で一旦思考が停止する。

「社長は大人しく瑞樹君とアリスと遊んでいて下さい」
「はいはい、了解です!」
「奈々美さんはこっち!」

そんな私を桜子さんは有無も言わさぬ勢いでズルズルと奥の部屋に引っ張っていく。

「ちょ、どういうこと……」
「シャラップ!」
「櫻木様、こちらのお嬢様ですね」
「ええ、よろしく」

部屋には三人の女性がいた。どの人も働く女性のお手本みたいにキリリとした美人だ。

でも……何が行われるっていうの?
彼女たちの眼が、獲物を前にした豹のように爛々と輝いているように見えた。