ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「あら、言ってなかったかしら? 主人が弁護士だってこと」
「えぇぇぇ!」

そんなこと聞いてない!

「悪いようにしないわ」
「でも……弁護士料って……」

べらぼうに高額だと聞く。そんなの払えない。

「ノープロブレム」

パチンと魅惑的なウインクをして「ちょっと席を外すわね」と桜子さんは携帯電話を片手にリビングを出て行った。

おそらく彼女は弁護士の旦那様に連絡を取りにいったのだろう。
いいのだろうか? 彼女に話してしまったが……赤の他人を巻き込んでしまったことに後悔の念が湧く。

五分ほどで桜子さんは戻ってきた。

「ねぇ、今日、お仕事は?」
「あっ、お休みです」

天気予報で今日は雨だと言っていた。案の定、瑞樹を送る前に『作業中止』の連絡が入った。

「そう、だったらゆっくりしていって。そうだ! この前ご馳走になったお手軽簡単ペペロンチーノ擬きの作り方、実演付きで教えて。その間にお洗濯したお洋服も乾いていると思うから」

桜子さんが嬉々と言う。

「あっ、すみません。あんなのでよかったら」

それぐらいで恩返しになるのなら、と二つ返事でOKした。