ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

彼女の用意してくれたのは温かいハーブティーだった。

「リラックス効果があるブレンドティーよ」

白い湯気からいい香りがする。

「――本当に驚いたわ。どうしてあんなところにいたの?」

私が落ち着いたところで、桜子さんが訊ねる。

誤魔化したところで、彼女は私のアパートを知っている。誤魔化しきれないだろう。話したいけど……話したところで何の解決にもならない。

――しかし……と迷いに迷っていると……それを察知したのか桜子さんが柔らかな微笑みを浮かべた。

「無理にとは言わないわ。でも、第三者だから冷静な判断ができることもあるわ。さっきの貴女、あれは一人で立っていられない様子だったわ。瑞樹君のためにも、心に引っかかるものがあるなら吐き出してみたら?」

確かにそうだ。このままでは瑞樹に苛立ちをぶつけてしまうかもしれない。

「――実は……」

意を決して先程起こった事態を桜子さんに話す。
全て聞き終わった桜子さんが両手でテーブルをバンと叩き、「最低の男!」と舌打ちをした。

「でも……法的なことを言い出したらこちらの方が分が悪いわね」

桜子さんの言うとおりだ。

「あっ、ごめんなさい。大丈夫よ、任せない!」

桜子さんがドンと胸を叩く。

「任せるって……」

話を聞いて貰っただけで十分だ。胸に溜まっていたどす黒い怒りが言葉と共に流れていった。他人様にこれ以上迷惑をかけられないと思っていると――。