ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「今日はこれでお開きのようね。二人ともおねむみたい」

大泣きするアリスちゃんを宥めながら桜子さんがニッコリ微笑む。
この人は本当に素敵な女性だ。

タイミング良く放たれた言葉にホッとする。
自分がこの騒動のきっかけと知ってか知らずか、瑞樹の『いやいや』が始まったからだ。

「そうね……」と美和さんが耳を塞ぐ。

「だから私、子どもって苦手なのよね。お人形さんみたいな子も突然、怪獣になっちゃったりするでしょう」

「だから子育ては面白いのよ」と桜子さんが笑う。

確かに桜子さんの言うとおりだ。美和さんが言うように怪獣の瑞樹には手を焼くが、瑞樹がいない人生なんて考えられない。

「そんなもの?」美和さんはいまいちピンとこないようだ。

「とにかく、今日は楽しかったわ。また一緒にご飯食べてね」

そう言って美和さんはそそくさと帰って行った。そして、私は桜子さんに送ってもらって帰路についた。

瑞樹は泣き疲れたのか車の中で眠ってしまった。その寝顔はいつもの天使だった。彼の寝顔を見ながらこの幸せがいつまでも続きますように、と改めて祈る私がいた。

――それは……これから起こる出来事を予感したからかもしれない。

***

「何てすって!」

私は目の前に座る二人の男性に声を荒げた。