ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「だから不思議なの。あの副社長がこんな極上の“可愛い”を手放すと思う? 思わないわ」

自分で質問して自分で答える美和さんに何がいいたいのかと首を傾げる。

「なるほど」

だが、桜子さんは聞かずとも分かったようだ。

「美和さんはこれには裏があると言っているのね?」
「流石、桜子、分かってるわねぇ」

この二人、何を飛躍しているのだ? そんなサスペンスチックな展開になるはずがないだろう……と呆れていると――。

「世の中は決して――ない、などという言葉はないのよ」と心を見透かされたように桜子さんが言う。

その横で「そうそう」と相槌を打ちながら美和さんがニヤリと笑った。

「人生はびっくり箱。何が飛び出てくるか分からないわよ」

その意味深なニヤリに何となく嫌な予感がしたが――。

ガシャン、バしゃん、バリンという音で思考は目の前の事態に移る。瑞樹が私のグラスを倒して落としてしまったのだ。予感的中?

「あららぁ」
「まぁ!」

美和さんと桜子さんが同時に上げる声に、音にビックリした子どもたちの泣き声が被さり店内に響き渡る。

「お客様、大丈夫でしたか?」

ダスターを持った店員さんが飛んできた。