ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「可愛いじゃない」と言いながら、美和さんはテーブルにセットされた小型のテレビカメラに目を向ける。

テレビ画面にはモグタンがスヤスヤ眠っているシーンが映っていた。

このファミレスのいいところは、ここだ。モグタンのアニメが常に流れているのだ。

人によっては『食事中に行儀悪い』とか『教育上良くないのでは』とか言う人がいるが……こんな風に穏やかな食事は久し振りだった。毎日ではないのだ、許して欲しい。

「可愛いで思い出したけど、副社長ってばメチャクチャ可愛いモノ好きでしょう? だから、貴女を住み込ませたのね」

桜子さんが美和さんに教えたのだ……というより、美和さんも知っていると思って桜子さんが話したのだが――。

「そうだと思うわ」と桜子さんが瑞樹を見る。

「私だって瑞樹君……欲しい!」

美和さんは本気で言っているようだ。瞳がキラキラと煌めいている。

「あげませんよ!」

キッパリと断ると、「ケチ」と舌打ちされた。

「私、大人の男性しか相手にしないのよ! なのに……この私まで虜にしてしまうほど瑞樹君は可愛いんだもの、可愛いモノ好きの副社長には溜まらないわよね」

美和さんの獲物を狙うような眼を避けるように、瑞樹の姿を私の身体で隠す。