ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

美和さんのモットーは美和さんのもの。私は瑞樹と平和に淡々と過ごしたい。

「四の五の言わずにレッツ・トライ! 今後、私が後方支援するから! 大船に乗ったつもりで玉砕なさい」

いや、玉砕するつもりでトライしたくない。それに……美和さんの後方支援とやらは当てになりそうにない。何となく一番に逃げ出しそうだ。

曖昧に笑って、「仕事に戻りましょう。監督が睨んでいます」と言ってそそくさとその場から離れる。その背に向かって美和さんが叫んだ。「逃げてても何も解決しないわよ!」と。

私は逃げてなどいない。最良の方法を実行したまでだ。
そう思うのに……なぜか美和さんの言葉が胸に突き刺さる。

それに、私の告白に副社長は何も言ってこないじゃない! あれほど口説いてきたのに……新堂の娘と知って途端に心変わりするような男なんて……。

拳固でコツンと頭を叩き、「しっかりしろ!」そんな男のことをいつまでもグジグジ考えるんじゃない、と自分に言い聞かせるとキリッと背筋を伸ばして仕事に戻った。



「――で、どうしてこうなるの?」

目の前の有り得ない展開に、私はずっと放心状態だ。

「桜子、これも美味しいよ」
「あら、美和さん、それもだけどこれも食べてみて」

桜子さんと美和さんが仲良くテーブルの上の料理をシェアし合っている。