ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「絶対に私のこの美貌に嫉妬したんだわ。副社長を取られると思って! ふん、何よあのブス」

確かに美和さんは美人だ。だが、茉莉乃さんはブスではない。彼女も美和さんに負けず劣らずの美人だ。

だが、私もいっぱしの社会人。空気を読むことがいかに大切かは知っている。「――大変でしたね」と美和さんに同情の意を称する。

すると美和さんの顔がキョトンとする。
こんな顔の美和さんを見たことがない。意外だが凄く可愛い!

「貴女、案外いい子ね」
「おそれいります」

案外は余計だが、殊勝に礼を述べると、「でも、そういう反応が嫌いなのよね」とやっぱり容赦ない。

「それでも、あの女より数百倍貴女の方がマシだから副社長を取り返しなさい!」

人差し指を私の鼻先に突っ立てて美和さんが命令する。

「お言葉ですが、それは遺憾ともしがたく……できません」

何のためにマンションを出たか分からなくなる。

「確かに」と美和さんが私を頭の天辺から足の先まで見ながら、「無理かもしれない。でも!」と腕を組み仁王立ちになる。

「何事も当たって砕けるまでやらなきゃ! それが私のモットーよ」