ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「それがなぁ、詳しくは知らんが副社長じゃない他の奴にまた惚れたらしいぞ」

「へぇぇぇ」と思わず声が漏れる。

「で、相手もまんざらじゃないみたいだ」

「おぉぉ!」とまた声が漏れる。

誰だろうその奇特な人ってと嬉々としていると、「何見てんのよ!」と美和さんがギッと私を睨む。

そう言えば……以前のケバケバしさがなくなったような……彼女、地が美人だから、ナチュラルメークが余計に美しさを際立たせている。

本当に誰だろう? 彼女をこんな風に変えるなんて……きっと強者だろうと思っていると、美和さんがツカツカと近寄ってきた。そして――。

「貴女、副社長と別れたの?」

遠慮なしに訊く――こういうところは以前のままだが……そういうところを含めて、基本、彼女は男前だ。きっとそんなところに惚れたのだろうと意識を飛ばしていると、「ちょっと、人が訊ねてるのに何その態度!」と怒り出す。

「あっ、すみません」

フンと鼻を鳴らして、「で、返事は?」と追求の手を緩めない。

「えっとですね。別れたとかそういうのとは違ってですね、ギプスが取れてお役御免となったわけでして……」

詳しくは話せない。でも、トイレ前の一件があるから彼女に誤魔化しは効かない。だから、事実のみを話す。