ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

アハハと照れ笑いを浮かべて「お世辞でも、ありがとうございます」と一応礼を述べると――。

「嘘じゃないぞ。ほら、見てみろ。他の奴らもそう思ってるぞ」

どういう意味だろうと辺りを見回すと……同僚たちがチラチラこちらを見ていた。
これって……まさかのモテ期?

あっ、もしかしたらお弁当に入れたミートスパゲッティのケチャップが口の周りに付いてるとか?

手の甲で口元を拭っていると、「ほら」と常爺さんが顎で明後日の方を指す。

「三上美和もジリジリ歯ぎしりしてるぞ」

――そうだった。彼女ともまた現場が一緒になってしまったのだ。
でも……なぜか前のようにライバル心剥き出しで絡んでこない。

きっと彼女も副社長の婚約記事を見たのだろう。時々、憐れみの目で私を見るから、たぶんそうだと思う。

「あいつ、現場ではいつも女王様だから、自分よりモテる奴が出てくるのはブランドが許さないんだろうな」

ブランド……? それを言うならプライドだろうと思ったが、今回も突っ込むのは止めた。常爺さんの言い間違いが、だんだんツボに入ってきているせいかもしれない。

「でも、美和さん、どうして現場仕事止めないんですか?」

もう副社長との恋も叶わないのに……。