「遅くなってすみませんでした」
かなり長い時間席を外していたが、瑞樹は全く淋しがっていなかった。部屋の隅に設けられたキッズスペースでアリスちゃんとお絵描きをしていた。満面の笑顔だ。
そんな二人を眺めていた桜子さんが私の顔を見るなり、眉を顰めた。
「どうかなさった? お顔の色が……ご気分でも悪いの?」
「あっ、大丈夫です」
そう言いながらも、鋭い人だと少し桜子さんを警戒する。
茉莉乃さんの言葉が気になって、他人に対して用心する必要がある、と感じたからだ。
「そう? ならいいんだけど……」
でも、桜子さんはいまいち納得していないようだ。
「――えっと、月のモノがきちゃいまして」
当然嘘だ。終わったばかりだ。それに私は比較的楽な方だ。
「あら、そうだったの。私もアリスを生むまでは酷かったのよ」と桜子さんがようやく納得したように話し出した。
「でもねっ、アリスを生んだら魔法がかかったように楽になっちゃった。よく『お産をすると血が変わる』って言うでしょう? あれ本当ね」
そんなものなのかと黙って聞いていると、「奈々美さん、ご結婚のご予定は?」といきなり訊ねられた。
「はいぃぃ?」と思わず素っ頓狂な声が出る。
かなり長い時間席を外していたが、瑞樹は全く淋しがっていなかった。部屋の隅に設けられたキッズスペースでアリスちゃんとお絵描きをしていた。満面の笑顔だ。
そんな二人を眺めていた桜子さんが私の顔を見るなり、眉を顰めた。
「どうかなさった? お顔の色が……ご気分でも悪いの?」
「あっ、大丈夫です」
そう言いながらも、鋭い人だと少し桜子さんを警戒する。
茉莉乃さんの言葉が気になって、他人に対して用心する必要がある、と感じたからだ。
「そう? ならいいんだけど……」
でも、桜子さんはいまいち納得していないようだ。
「――えっと、月のモノがきちゃいまして」
当然嘘だ。終わったばかりだ。それに私は比較的楽な方だ。
「あら、そうだったの。私もアリスを生むまでは酷かったのよ」と桜子さんがようやく納得したように話し出した。
「でもねっ、アリスを生んだら魔法がかかったように楽になっちゃった。よく『お産をすると血が変わる』って言うでしょう? あれ本当ね」
そんなものなのかと黙って聞いていると、「奈々美さん、ご結婚のご予定は?」といきなり訊ねられた。
「はいぃぃ?」と思わず素っ頓狂な声が出る。



