ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「蘭子さんは、別居中でも丸東建設のことをちゃんと考えているのよ」

まるで自分のことのように自慢げに話す。

「だから、ライバルである新堂コンツェルンに対するために、我が楠木建設と手を結ぼうとしているの。息子の幸せよりも仕事を優先する、そんな人なのよ」

自信満々に答える彼女に言葉が何も出てこない。

「だから、彼の家を早く出て行ってね。ギプスも取れたんでしょう?」

えっ? もう知っているの? まさか、彼女がここに来たのは偶然じゃない?

「――貴女、私のストーカーですか?」

「あらっ、失礼ね」と茉莉乃さんが片方の唇の端を上げる。

「二人きりで話したかったから、ちょっと調べただけ。誰が貴女なんか追い回すものですか!」

確かに私を追い回したところで何の徳にもならない。
でも……彼女に言われたからと副社長の家を出たくない。出て行くときは自分の意思でだ!

「それに……」と茉莉乃さんが意味深に笑みを浮かべた。気色の悪い笑みだ。

「私、知っているのよ」

何をだろう? 悪意のある彼女の笑みに薄ら寒いものを感じ、背筋が冷たくなる。

「貴女の正体」

唐突な彼女の言葉に意識が飛ぶ。