ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「あれって、蘭子さんのアイディアだって知ってた?」

へー、そうなんだ。知らなかったと首を横に振ると、茉莉乃さんが「本当に大したものよね」と感嘆の息を吐く。

大したもの? この流れでその言葉は……何を指すのだろう?
不思議に思っていると、茉莉乃さんが続けて言う。

「彼女、本当に商才があるわ」

商才? トンチンカンの言葉の数々に目が点になる。

「全然、分かっていないようね」

茉莉乃さんが馬鹿にしたように鼻で笑う。

「蘭子さんはこんな風に、斬新なアイディアでホテルを先代以上のホテルにしてきたのよ」

確かに斬新なアイディアだと思うが……。

「本当、憧れちゃうわ。お金儲けの達人だもの」

へっ? あのキッズ同伴の部屋はお金儲けのために作られた部屋なの?
いや、違う! この間会った蘭子さんはそんな人じゃなかった。

想像だけど、きっと副社長の子どもの頃を思い出して、こんな部屋があったらいいなって思って作った部屋に違いない。

「蘭子さんはそんな人じゃないと思います」

だから、そう言ったけど……。
茉莉乃さんがいきなり大笑いを始めた。

「全然、分かっちゃいないのね」
「何をですか?」

睨み付ける彼女の眼に、負けじと私も睨み返す。