ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「でしょう? 私、ここに来たのはこれで二度目なんだけど、前回一緒に来た母も『最近の世の中は、妊婦さんと子連れに随分と優しくなったわね』』って羨ましそうだったわ」

そう言われればそうかもしれない、と改めて辺りを見回す。

バイキング会場は、キッズ連れとそれ以外の方たちは完全に分離されていた。少々子どもが騒いでも、皆お互い様のように和気藹々とした雰囲気が漂っていた。

「シッターさんが預かってくれるシステムいいけど、こんな風に子どもと一緒に甘い物が無性に食べたい時があるのよね」

「そうですね。いくら可愛い子でも、子育て中はいろいろストレスが溜まりますものね」

私はお金に余裕がなかったから、コンビニとかスーパーのケーキでも十分ストレス発散になったが……。

「分かるわ。私もどうしても我慢できなくなった時は、母に預けてストレス発散に出掛けるんだけど、出掛けてすぐに罪悪感に見舞われちゃうの。子どもを放って何をしてるんだって」

そうなんだ、とコクコク頷くが、私が預けたのは仕事の面接を受けるときだけだったから罪悪感よりも必死の思いの方が強かった。

「でも、私は恵まれていたのね……」

桜子さんの目が私を見る。

「あっ、気にしないで下さい。身内がいなくても瑞樹がいるから、私、幸せですから」