ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「それでと言ったらなんですけど……この後って、ご用事あるかしら?」

用事? 夕飯の買い物だけだ。それ以外は別に何もない。
「いいえ」と答えると桜子さんがマザーバッグからお財布を取り出した。

「これ、行きません?」

桜子さんがお財布の中から取りだしたのはチケットだった。
「あっ」と思わず声を上げる。

「それ、新しくできたホテルの!」
「そう、子連れママ専用ルームのあるケーキバイキングご招待券なの」

おお! 機会があれば一度行ってみたかった場所だ。

「行きます行きます! お供します!」

大興奮の私に桜子さんは少し引き気味だ。ぎこちなく頬を上げた。

「――いえ、こちらこそ急にごめんなさい」

「とんでもない!」と言ってアリスちゃんに話しかける。

「瑞樹と一緒に帰ろうね」
「だから、アリス、お片付けしていらっしゃい」

瑞樹が一緒と聞いて、アリスちゃんが笑顔になる。
早速瑞樹に駆け寄りテーブルを片付け始めた。

「そのインシティ海音って、海音リゾートホテルの系列ホテルですよね?」
「ええ、そうよ」

やっぱり。でも……招待券に非売品と印字してあった。誰から貰ったんだろう?

そう思いながらも、知人か親戚に関係者でもいるのかなとあまり深く考えなかった。