ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

アリスちゃんも可愛いけど、本当、ママも美人。思わず見惚れていると……視線を感じたのかママさんが私の方を向く。

「みーきのママ」

アリスちゃんが自慢げに言う。どうやら私を紹介してくれたみたいだ。

二歳なのに何という社交術。アリスちゃんの家庭ではこんな場面が日常繰り返されているのかもしれない、と感心していると、「教えてくれてありがとう」と母親がアリスちゃんの頭を撫でる。そして――。

「アリスがいつも仲良くして頂いて、ありがとうございます。アリスの母親、櫻木桜子と申します。名前で呼んで下いね」

「あっ、瑞樹の叔母、山本奈々美と言います」

慌てて頭を下げると「まぁ!」と驚いた声が聞こえた。
頭を上げると、「叔母……さん?」と本当に驚いていた。

「ごめんなさい。どうりでお若いと思ったわ。私は奈々美さんと呼ばせて頂くわね」

ごく自然にそう言う桜子さんは、やっぱりアリスちゃんのママだ。社交術に長けていた。

そんな桜子さんがコロコロと笑うと……目の錯覚? 彼女のバックに桜の花が見えたような気がした。

何て優雅に笑うんだろう……と思っていると――。

「さぁ、アリスもお片付けしていらっしゃい。帰るわよ」

桜子さんが優しくアリスちゃんを促す。が、どうしたんだろう? アリスちゃんが「いや!」と首を横に振る。

「みーきもいっしょ」

そして、いきなり駄々を捏ね始めた。そんなアリスちゃんに桜子さんが苦笑する。

「魔の二歳児って言うのかしら? 何かの拍子で『いや』ばかりで」

なるほど、と頷く。
瑞樹はまだ始まっていないが、仕入れた情報から、瑞樹もそろそろかもと覚悟していた。