ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「あっ」

アリスちゃんが声を上げてこちらを見る。どうやら、瑞樹が隣にいないのに気付いたようだ。

パタパタと足音を立て、こちらに走ってきた。そして、「みーき、バイバイ」と可愛く手を振る。

アリスちゃんは「瑞樹」と発音しにくいのか、瑞樹を『みーき』と呼ぶ。そして、瑞樹は――。

「スー、バイバイ」と私と同じくアリスちゃんの最後の『ス』だけを呼ぶ。

二人が並んで立つと、物語の王子様とお姫様が立っているように見える。ただし、アリスちゃんの方が五センチほど瑞樹より背が高い。やはり、この時期、女の子の方が成長が早いようだ。

「瑞樹、バイバイはお片付けしてからね」

瑞樹がテーブルの方に目を向ける。

「そう、お絵描きセットを片付けてから帰ろう」

「はい」と元気よく手を上げ、瑞樹がテーブルの方に走っていく。

「アリスもママとかえるの」

おお! 単語を三つも続けてる。先週まで二語だったのに。

『我が子の成長は良く分からないが他人の子の成長は良く分かる』と言うが本当だ。アリスちゃんが急速に成長してる!

しみじみとしていると、「アリス、お待たせ」とアリスちゃんの母親がやって来た。

「ママー!」

アリスちゃんが母親の胸に飛び込む。