ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「分かった。瑞樹にくれぐれもよろしく言っておいてくれ」

本当、大袈裟なんだから。

「了解しました」

それでも素直に承知する。

副社長を見送り、家事をひと通り済ませてから瑞樹を起こしに行く。今日は珍しくお寝坊さんだ。

「瑞樹」と声をかけると、眠そうな目がゆっくり私を見る。それからニヘラと相互を崩して両手を布団から出すと私の方に突き出す。

抱っこをねだるときの瑞樹の仕草だ。

「おはよう、瑞樹。目、覚めた?」
「をはよう」

瑞樹を抱き上げると、腕の中いっぱいに温もりが溢れる。幸せだ。

「たぁ君」

でも、瑞樹は少し不服のようだ。

「たぁ君はお仕事だよ。今日は早い早いだよ」
「ちんかんせん」

新幹線は速いけど、ちょっと意味が違うかな。
こんなトンチンカンの会話も楽しい。

「朝ご飯にしよう。今日は瑞樹の好きな人参さんの入ったホットケーキだよ」

ホットケーキと聞き、瑞樹は速攻で私の腕の中から抜け出してダイニングに飛んで行く。

その後ろ姿を見ながら、ここでの生活も随分慣れたなぁと感慨深く思いながらも、慣れすぎたなぁと心配になる。

「そのうち、出て行かなくちゃいけないのに……」