ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「とにかく、楠木茉莉乃のことは僕が処理する。任せておけ」

そこでようやく思い出した。
蘭子さんが言っていたことって……もしかしたらこのこと?

でも……茉莉乃さんの登場も、副社長の意志の強さで呆気なく終わってしまった。これ以上、何をするというのだろう?

そんなふうに思っていたが、これはまだまだ序章でしかなかったと、この後の展開で思い知ることになる。

***

茉莉乃さん婚約者事件が起こった一週間後。

「副社長、おめでとうございます」

ようやくギプスが取れ、車椅子からも松葉杖からも解放された副社長が、清々しい笑みを浮かべながら「ありがとう」と言って全身を鏡に映す。

ブランド物のスーツを身に纏い二本の足でスックと立った副社長は、車椅子や松葉杖姿の数十倍、いや、数百倍格好良かった。

「元の姿に戻った最初の日だからな。身だしなみは整えて行かないとな」
「素敵ですよ」
「奈々美にそんなことを言われたら照れるじゃないか」

マジに照れている?
耳が赤い。

「奈々美は……」
「はい、すみません。予定通り、今日はお休みを頂きます」
「分かっているだろうけど、ギプスが取れたからといって逃げるなよ!」