「剣持さん、何があったんですか?」
松葉杖が要らない副社長の後ろ姿は颯爽としていた。そんな彼を見送り、さっそく剣持さんに訊ねる。しかし、彼の口は重かった。
「私の口から……お聞きになりたいのなら、副社長に直接お訊ね下さい」
いつになく素っ気ない返事だった。
軽くショックを受けながら言わずにいられなかった。
「本当に、副社長も剣持さんもどうしちゃったんですか?」
その問いには答えず、剣持さんは「私も仕事が滞っておりますので、これで失礼します」と言って部屋を出て行ってしまった。
そんなに忙しいのなら仕事を振ってくれればいいのに、と思ったが、私が彼を手伝えることなど微々たるものだった。
仕方がない、と思いながら先程のお茶をまたトレーに載せていると――。
トントンとノックの音がして、返事もしないのにドアが開いた。
「拓也さん、いる?」
入ってきたのは深紅の薔薇をイメージさせるような綺麗な女性だった。
彼女は私に気付くと、「あら? 拓也さんはいないの?」と訊ねた。
この女性は誰?
ハッと我に返る。
「あの、どちら様でしょうか? 勝手に入られては困ります」
「あら、婚約者が婚約者の部屋に入っちゃいけないの?」
松葉杖が要らない副社長の後ろ姿は颯爽としていた。そんな彼を見送り、さっそく剣持さんに訊ねる。しかし、彼の口は重かった。
「私の口から……お聞きになりたいのなら、副社長に直接お訊ね下さい」
いつになく素っ気ない返事だった。
軽くショックを受けながら言わずにいられなかった。
「本当に、副社長も剣持さんもどうしちゃったんですか?」
その問いには答えず、剣持さんは「私も仕事が滞っておりますので、これで失礼します」と言って部屋を出て行ってしまった。
そんなに忙しいのなら仕事を振ってくれればいいのに、と思ったが、私が彼を手伝えることなど微々たるものだった。
仕方がない、と思いながら先程のお茶をまたトレーに載せていると――。
トントンとノックの音がして、返事もしないのにドアが開いた。
「拓也さん、いる?」
入ってきたのは深紅の薔薇をイメージさせるような綺麗な女性だった。
彼女は私に気付くと、「あら? 拓也さんはいないの?」と訊ねた。
この女性は誰?
ハッと我に返る。
「あの、どちら様でしょうか? 勝手に入られては困ります」
「あら、婚約者が婚約者の部屋に入っちゃいけないの?」



