ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

それも知っていたんだ。恐るべし蘭子さん。

「私、期待していたのよ。あの子が勇気を振り絞って翠花ちゃんと結婚したら両家の仲もこれで修復されるって。それなのに……」

蘭子さんがガッカリしたように目を伏せる。そして、次の瞬間、鷹が獲物を得たような鋭い視線でこちらを見る。

「奈々美さん。無理を承知でお願いするわ。両家の架け橋になって」

本当に無茶なお願いだ。

「鏑木建設と小金建設の話は聞いた?」
「少しですが」

それが何?

「だったら話は早いわね」

蘭子さんはそこからとんでもない話をし出した。

「鏑木建設が両家の仲違いを利用して日本経済を乗っ取る?」
「そう。まだ詳細は掴んでいないけど、計画は着々と進められているみたい」

蘭子さんの話が本当なら……。

「ダメです! あんな奴らに……」

小金は姉をボロ布のように捨てた家だ。
そんな奴らに経済をいいようにされたら日本は終わりだ。

「ええ、分かっているわ。だからよ! 東條寺と新堂が手を結ばなきゃ。それには奈々美さん、貴女の力が必要なの。貴女が拓也と結婚したらこれほど太いパイプはないわ。誰も太刀打ちできないわ」

そうは言っても……。
副社長の姉への思いが私の心にわだかまりを残している。

「副社長は姉のことがまだ好きです。私、他の人に心を奪われている人と結婚したくはありません」

それが正直な思いだ。