ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「では、到着したら早々に準備させましょう」

そう言えば……と海音リゾートホテルのウエブサイトを思い出す。
ホテルは全天候型遊園地と水族館を併設していると書いてあった。

「遊園地内の施設の一つにポニーゾーンがあり、そこではポニーの他にも様々な動物と直に触れ合うことができます」

施設はドーム状の建物の中にあるそうだ。どんなだろう、とワクワク感を募らせていると、「瑞樹ぃぃ、いっぱい遊ぼうな」と、私以上に副社長が興奮している。

でも……瑞樹の反応は鈍い。虚ろな目をしている。どうやら睡魔が襲ってきたようだ。

子どもというのは本当に面白い。
何をしていても突然電池が切れたようにコトンと眠りに陥ってしまう。

副社長が最初にそのシーンを見たのは、夕飯を初めて一緒に取ったときだ。

『おい、瑞樹が食べながら寝ているぞ』

ベビーチェアーに座る瑞樹をビックリ眼で副社長は覗き込み、瑞樹の頬をツンツンと突きながら起こそうとする。

『おっ、一瞬だけ目を開けた。あっ、食べた。モグモグしている。でも……また寝た』

そんなふうなことを数回繰り返していたが、そのうちに瑞樹は本格的に寝てしまった。

『くそっ! 写メしとけばよかった』

そのコックリシーンがいたく気に入ったのか、『最高の萌えだったのに』と悔しがっていた。