ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ

「娘に誕生祝いをやったんだよ」
「何で? 敵対してるのに?」

社長がポリポリと頭を掻く。

「ホテルをカッコ良く譲っただろう? で、もっと格好を付けたくて蘭子さんに贈ろうと思っていた薔薇の花束をプレゼントしたんだよ」

「カッコ付けたい相手って新堂社長だよな? 本当、見栄っ張りなんだから」

副社長が呆れたように息を吐く。

「悪いか! その少し前に新堂コンツェルンに苦湯を飲まされたんだ」
「大人げない」

副社長がバッサリ斬る。

「それで? プレゼントは翠花……娘へだろ? 何でそれが奥方との浮気になっちゃうわけ?」

副社長の疑問は的を得ている。本当、どうして母との浮気話に発展したんだろう?

「う……ん、それが……」

社長の歯切れが悪い。

「渡したのは奥方に……なんだ」
「はぁぁぁ」

本当に今日は副社長とよく気が合う。呆れ眼で同時に社長を見る。

「仕方がないだろう。そこに奥方がいたんだから」
「それをまさか、メインホールでなんてことしてないだろうな?」

一瞬間が空き、社長が視線を逸らす。そして、「そうなんだ」と呟く。

「それを蘭子様がご覧になったのです」

ずっと黙って聞いていた喜田さんが溜息交じりに言う。