「なんとか言ってみろ! この甘ちゃんカンフーマニアが!!」
「どうしてあなたにそこまで言われなくてはいけないんですか!!」
最後に一言多かった。
いつものノリならここで一気にたたみ掛けようものなのに、珍しく相田先輩の説得が失敗したようだ。
だけど相田先輩はそのリアクションを待ってました、と言わんばかりにビシッと利一君を指差した。
「貴様のへなちょこ拳法など、我々劇団演劇部の素人だって勝てる!」
「いくら先輩でも言っていいことと、悪いことがありますよ!」
あの先輩に限っては、言って悪いことなんて存在しないことをまだ利一君は知らない。
それよりも今『我々』とか言っていませんでしたか。
そんな僕の不安とは裏腹に、話はドンドン進んでいく。利一君の闘争本能にも火がついってしまったようだ。
「面白いじゃないですか。だったら、証明してみてくださいよ」
「ならば、今から我々男子3人と貴様1人で、勝ち抜き戦をやろうじゃないか。そっちが負けた場合は、大人しく劇団演劇部に入ってもらう」
「いいでしょう」
やられた。
結局この人は、ただ単純に勝負がしたいだけなのだ。しかも一人ではなく、僕と洸河先輩を巻き込んで戦いたかっただけだ。
さっきの余計な一言もわざとだったに違いない。
こうなってしまった以上(遠藤さんもいる手前)逃げるわけにはいかない。
僕と洸河先輩は、すでにいつでも戦える相田先輩を置いといて、利一君の厚意で道場にある空手着を借りて渋々それに着替えた。
更衣室から出てみると、ウォーミングアップを終えた利一君がやる気満々で立っている。
門下生の人たちも道場に集まり始めていて(事情を相田先輩が話したのだろう)にわかに活気だってきていた。
「では、始めようじゃないか」
相田先輩もやる気満々だ。
わざわざこんな勝ち目のない戦いをして、どうしようというのだろう。
「どうしてあなたにそこまで言われなくてはいけないんですか!!」
最後に一言多かった。
いつものノリならここで一気にたたみ掛けようものなのに、珍しく相田先輩の説得が失敗したようだ。
だけど相田先輩はそのリアクションを待ってました、と言わんばかりにビシッと利一君を指差した。
「貴様のへなちょこ拳法など、我々劇団演劇部の素人だって勝てる!」
「いくら先輩でも言っていいことと、悪いことがありますよ!」
あの先輩に限っては、言って悪いことなんて存在しないことをまだ利一君は知らない。
それよりも今『我々』とか言っていませんでしたか。
そんな僕の不安とは裏腹に、話はドンドン進んでいく。利一君の闘争本能にも火がついってしまったようだ。
「面白いじゃないですか。だったら、証明してみてくださいよ」
「ならば、今から我々男子3人と貴様1人で、勝ち抜き戦をやろうじゃないか。そっちが負けた場合は、大人しく劇団演劇部に入ってもらう」
「いいでしょう」
やられた。
結局この人は、ただ単純に勝負がしたいだけなのだ。しかも一人ではなく、僕と洸河先輩を巻き込んで戦いたかっただけだ。
さっきの余計な一言もわざとだったに違いない。
こうなってしまった以上(遠藤さんもいる手前)逃げるわけにはいかない。
僕と洸河先輩は、すでにいつでも戦える相田先輩を置いといて、利一君の厚意で道場にある空手着を借りて渋々それに着替えた。
更衣室から出てみると、ウォーミングアップを終えた利一君がやる気満々で立っている。
門下生の人たちも道場に集まり始めていて(事情を相田先輩が話したのだろう)にわかに活気だってきていた。
「では、始めようじゃないか」
相田先輩もやる気満々だ。
わざわざこんな勝ち目のない戦いをして、どうしようというのだろう。


