(このまま帰るつもりじゃないだろうな)
という僕の心配をよそに、相田先輩はイチゴ牛乳を一口飲むと、何故か千鳥足になって利一君のほうへ徐々に近づいていっている。
(酔拳?)
相変わらずあの人の行動は、意味がわからない。
フラフラとしながら、利一君から近づいたり、離れたりしている。
それでも着実に距離が縮んでいく途中で、お弁当を広げている女子生徒の集団に入り込み、ウィンナーを盗み食いしていた。
よし、わかった。
あの人の行動に、意味はない。
それでも相田先輩には、何かやらかしてくれる期待が持てるから不思議だ。
僕らが固唾を呑んで見守る中、先輩はついにあと一足間で利一君の射程距離に入るというところまで来ていた。そして
「ほわぁちゃっ!」
と気合の雄たけびを上げたところで、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
この場合、あの人に期待した僕らが悪い。
そして、放課後。
僕らはジョーに場所を教えてもらった道場まで何故か赴くことになっていた。
地図を受け取るときに、利一君がこの学校を選んだのは道場から一番近くにある学校だったからだと聞かされ、ますます僕らの劇団に入ってもらえないのではないかという意見も出ていたが、やっぱり相田先輩の強引な理論(駄々をこねただけという話もあるが)で足を運ぶことになったのだ。
校門の前で僕と遠藤さんが先輩達を待っていると、全く気乗りしていない洸河先輩が先に校舎を出てきた。
「やっぱり行くのですか?」
僕は諦めの意味も込めて、無言で頷く。
「相田先輩には今日の僕は体調不良ということにして…」
「ふざけるな!!」
洸河先輩の言葉を遮った相田先輩はいつの間にか校門の上に立っていた。
これまたどこから持ってきたのか、黒い中国服に身を包んでいる。
「劇団演劇部に敵前逃亡の2文字はない! いくぞ!!」
4文字だ。
相田先輩が(ムダに)華麗に校門から飛び降り軽快に進むあとを、僕らは気乗りしない足取りで付いていった。
「たのもー!」
という僕の心配をよそに、相田先輩はイチゴ牛乳を一口飲むと、何故か千鳥足になって利一君のほうへ徐々に近づいていっている。
(酔拳?)
相変わらずあの人の行動は、意味がわからない。
フラフラとしながら、利一君から近づいたり、離れたりしている。
それでも着実に距離が縮んでいく途中で、お弁当を広げている女子生徒の集団に入り込み、ウィンナーを盗み食いしていた。
よし、わかった。
あの人の行動に、意味はない。
それでも相田先輩には、何かやらかしてくれる期待が持てるから不思議だ。
僕らが固唾を呑んで見守る中、先輩はついにあと一足間で利一君の射程距離に入るというところまで来ていた。そして
「ほわぁちゃっ!」
と気合の雄たけびを上げたところで、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
この場合、あの人に期待した僕らが悪い。
そして、放課後。
僕らはジョーに場所を教えてもらった道場まで何故か赴くことになっていた。
地図を受け取るときに、利一君がこの学校を選んだのは道場から一番近くにある学校だったからだと聞かされ、ますます僕らの劇団に入ってもらえないのではないかという意見も出ていたが、やっぱり相田先輩の強引な理論(駄々をこねただけという話もあるが)で足を運ぶことになったのだ。
校門の前で僕と遠藤さんが先輩達を待っていると、全く気乗りしていない洸河先輩が先に校舎を出てきた。
「やっぱり行くのですか?」
僕は諦めの意味も込めて、無言で頷く。
「相田先輩には今日の僕は体調不良ということにして…」
「ふざけるな!!」
洸河先輩の言葉を遮った相田先輩はいつの間にか校門の上に立っていた。
これまたどこから持ってきたのか、黒い中国服に身を包んでいる。
「劇団演劇部に敵前逃亡の2文字はない! いくぞ!!」
4文字だ。
相田先輩が(ムダに)華麗に校門から飛び降り軽快に進むあとを、僕らは気乗りしない足取りで付いていった。
「たのもー!」


