いったい何に優勝するつもりなんだろう。
まぁ、勧誘するのは反対ではないけど、今の彼に声をかけるのは至難の業だ。
一人稽古の真っ最中である利一君の動きは
ヒートアップする一方で、近づくだけでもかなり危険な行為といえる。
しかし相田先輩は今にも飛び出しそうな勢いだった。
飲み終わったイチゴ牛乳の紙パックをゴミ箱に投げ捨てた相田先輩は、勢いよく立ち上がり
「よし! いけ、駿!!」
と自分は動かず、洸河先輩の背中を押した。
「ど、ど、ど、どうして僕なんですか?!」
慌てたじろぐ洸河先輩に
「うるさい。お前はシャベリが上手いから勧誘担当なのだ!」
と、相田先輩が勝手な担当をつける。
これ以上の抗議がムダだとわかっている洸河先輩は、気の毒にもおずおずと利一君に近づいていった。
「や、やぁ」
と腰が引けたまま、それでもキザに後ろから小さな声をかける。
その瞬間、洸河先輩が視界に入っていなかった利一君の後ろ回し蹴りが
シュッ!
というシャープな音とともに先輩の鼻先を掠めた。
キザとは一転して、コミカルな動きで逃げ帰ってくる洸河先輩に
「あれくらいでビビるな、行け! なんなら一発お見舞いしてやれ!!」
と、相田先輩は更なるムチャ指令を飛ばす。
利一君は洸河先輩が視界に入っていなかったというより、自分の世界に入り込んでいる
らしい。らしいというのは、洸河先輩に回し蹴りをした後も何事もなかったかのように稽古を続けているからだ。
「無理ですよ、あれに近づくのは!」
洸河先輩の命がけの抗議も続き
「しょうがないな」
と、やっと諦めた相田先輩は一人で僕らのところを離れていった。
まっすぐ利一君のところに行くかと思ったら、自動販売機で新しいイチゴ牛乳を買っている。
まぁ、勧誘するのは反対ではないけど、今の彼に声をかけるのは至難の業だ。
一人稽古の真っ最中である利一君の動きは
ヒートアップする一方で、近づくだけでもかなり危険な行為といえる。
しかし相田先輩は今にも飛び出しそうな勢いだった。
飲み終わったイチゴ牛乳の紙パックをゴミ箱に投げ捨てた相田先輩は、勢いよく立ち上がり
「よし! いけ、駿!!」
と自分は動かず、洸河先輩の背中を押した。
「ど、ど、ど、どうして僕なんですか?!」
慌てたじろぐ洸河先輩に
「うるさい。お前はシャベリが上手いから勧誘担当なのだ!」
と、相田先輩が勝手な担当をつける。
これ以上の抗議がムダだとわかっている洸河先輩は、気の毒にもおずおずと利一君に近づいていった。
「や、やぁ」
と腰が引けたまま、それでもキザに後ろから小さな声をかける。
その瞬間、洸河先輩が視界に入っていなかった利一君の後ろ回し蹴りが
シュッ!
というシャープな音とともに先輩の鼻先を掠めた。
キザとは一転して、コミカルな動きで逃げ帰ってくる洸河先輩に
「あれくらいでビビるな、行け! なんなら一発お見舞いしてやれ!!」
と、相田先輩は更なるムチャ指令を飛ばす。
利一君は洸河先輩が視界に入っていなかったというより、自分の世界に入り込んでいる
らしい。らしいというのは、洸河先輩に回し蹴りをした後も何事もなかったかのように稽古を続けているからだ。
「無理ですよ、あれに近づくのは!」
洸河先輩の命がけの抗議も続き
「しょうがないな」
と、やっと諦めた相田先輩は一人で僕らのところを離れていった。
まっすぐ利一君のところに行くかと思ったら、自動販売機で新しいイチゴ牛乳を買っている。


