木工準備室にしばしの沈黙が流れ
「いや、あのさ、洸河。悪いんだけど…」
と、緑髪の生徒が断りの言葉を続けた。
予想はしていたけど、彼らも学園祭の時期は忙しいのだ。
それに同じ音楽といっても、全くジャンルが違うらしい。
確かに彼らの格好を見る限り、ロックとパンク以外はなにも知らなそうだ。
何でも聞くぜ!なんて調子のいいところは洸河先輩に似ているが、彼らを攻めるのもお門違いだろう。
おとなしく引き下がることにした僕らは、その後、洸河先輩のファンも多いブラスバンド部にも行ってみた。
が、やはり結果は同じだった。
「すいません、お役に立たなくて」
洸河先輩がそう言って頭を下げる。
さすがの先輩も劇団演劇部の初仕事に失敗したことで落ち込んでいるようだ。
どちらかの部活に、いつか電車の中で見たドレッド男がいるかと思ったけど、その姿はなかった。
「しょうがないですよ。他の方法を考えましょう」
「そうだね」
僕も遠藤さんに同意して、今日のところは解散することになった。
しかし他の方法と言っても、音楽に興味がある生徒は今の二つの部活か、廃部になったフォークソング同好会にいたはずだ。
ドレッド男は別に音楽好きじゃなくて、ただあの時はイラついていただけだったのかもしれない。
でも電車でのあの文句が、出任せだったとはとても思えない。車内の人がみんな同じ動きをしたくらいだ。
生徒数が多いとはいえ、同じ学校なのにあれ以来、顔を見たことがないのも謎だった。
個人的にもドレッド頭のことが気になってきた僕は、あの時と同じ電車に乗るため目覚まし時計の針を1時間前にセットしてベッドに入った。
次の日の朝、5分寝坊した僕は急いで学校に行く準備を整えた。
いつもよりずっと早起きなのに、慌てている僕の姿に驚く家族を無視してダッシュで家を飛び出し、なんとか目的の電車に飛び乗ることが出来た。
息を切らせながら乗り込んだ僕は、汗を拭きながら車内を見回す。
あの時ドレッド頭にキレられていたサラリーマンはいたけど、キレていた張本人の姿は見えなかった。
そのときのサラリーマンはポータブルの音楽を聴かず、本を読んでいた。
「いや、あのさ、洸河。悪いんだけど…」
と、緑髪の生徒が断りの言葉を続けた。
予想はしていたけど、彼らも学園祭の時期は忙しいのだ。
それに同じ音楽といっても、全くジャンルが違うらしい。
確かに彼らの格好を見る限り、ロックとパンク以外はなにも知らなそうだ。
何でも聞くぜ!なんて調子のいいところは洸河先輩に似ているが、彼らを攻めるのもお門違いだろう。
おとなしく引き下がることにした僕らは、その後、洸河先輩のファンも多いブラスバンド部にも行ってみた。
が、やはり結果は同じだった。
「すいません、お役に立たなくて」
洸河先輩がそう言って頭を下げる。
さすがの先輩も劇団演劇部の初仕事に失敗したことで落ち込んでいるようだ。
どちらかの部活に、いつか電車の中で見たドレッド男がいるかと思ったけど、その姿はなかった。
「しょうがないですよ。他の方法を考えましょう」
「そうだね」
僕も遠藤さんに同意して、今日のところは解散することになった。
しかし他の方法と言っても、音楽に興味がある生徒は今の二つの部活か、廃部になったフォークソング同好会にいたはずだ。
ドレッド男は別に音楽好きじゃなくて、ただあの時はイラついていただけだったのかもしれない。
でも電車でのあの文句が、出任せだったとはとても思えない。車内の人がみんな同じ動きをしたくらいだ。
生徒数が多いとはいえ、同じ学校なのにあれ以来、顔を見たことがないのも謎だった。
個人的にもドレッド頭のことが気になってきた僕は、あの時と同じ電車に乗るため目覚まし時計の針を1時間前にセットしてベッドに入った。
次の日の朝、5分寝坊した僕は急いで学校に行く準備を整えた。
いつもよりずっと早起きなのに、慌てている僕の姿に驚く家族を無視してダッシュで家を飛び出し、なんとか目的の電車に飛び乗ることが出来た。
息を切らせながら乗り込んだ僕は、汗を拭きながら車内を見回す。
あの時ドレッド頭にキレられていたサラリーマンはいたけど、キレていた張本人の姿は見えなかった。
そのときのサラリーマンはポータブルの音楽を聴かず、本を読んでいた。


