「どうして遠藤さんが謝るんだよ」
女の子に初めて目の前で(中学のアレは離れた所だったのでカウントしない)泣かれてしまったことに動揺しながらも、僕はなるべく優しい口調を意識して言葉を続けた。
「遠藤さんが謝ることないじゃないか」
「でも私が演劇部に誘わなければ、エイト君だってこんな嫌な想いをしなくて済んだでしょ?」
「そんなこと」僕が彼女の言葉を否定しようとすると、遮るように声を荒げ
「それにもともと演劇部の私より一生懸命動いてくれて…私は何もしてない。ずっとエイト君の後を付いていくだけで…ホント無責任だよね」
と、彼女は下を向いて大粒の涙をこぼし、嗚咽する声を必死で抑えていた。
僕の中に沸々と湧き上がる彼女を泣かせた生徒会に対しての怒りと、彼女を抱きしめたい欲望を同時に抑えながら僕は言った。
「遠藤さんは悪くない。僕は僕の意思で演劇部に入ったんだ。でも遠藤さんが傍にいなかったら僕だって何もできないよ。一緒にいるとそれだけで心強いんだ」
これって、告白になってないよな。ここで振られたりしたらシャレにならない。僕も一緒に泣いてしまう。
「この間の演劇を見て本当にマジで感動したんだ。正直言うと、それまで演劇って興味なかったし、あんまりいいイメージも持ってなかったんだけど、あの遠藤さんのお姉さんの劇団を見て…」
そのとき、僕の頭に昨日の雷のような電光が走った。
(劇団だ)
僕は立ち上がってうつむいている遠藤さんの前にしゃがみ込んだ。
「遠藤さん、まだ劇団が残ってるよ!」
「劇団?」
彼女は僕の言っている意味がよくわからなかったのか、涙を拭いて聞き返した。
「そう、劇団を作るんだ! この学校の生徒だけで集まって出来た『劇団演劇部』を作るんだ。そして、学園祭で発表する。部活動じゃなくて劇団活動なんだよ。偶然同じ学校の生徒だけで集まって、たまたま学園祭が近くにあったから公演するだけ。これなら生徒会も口が出せないはずだよ!」
去年の秋に、受験する予定だったこの高校の学園祭を見学しに来たことがあった。そのときにボランティアの有志団体がリサイクルショップを開いているのを見かけたのだ。過去に前例があることなら生徒会も認めざるを得ないはずだ。
女の子に初めて目の前で(中学のアレは離れた所だったのでカウントしない)泣かれてしまったことに動揺しながらも、僕はなるべく優しい口調を意識して言葉を続けた。
「遠藤さんが謝ることないじゃないか」
「でも私が演劇部に誘わなければ、エイト君だってこんな嫌な想いをしなくて済んだでしょ?」
「そんなこと」僕が彼女の言葉を否定しようとすると、遮るように声を荒げ
「それにもともと演劇部の私より一生懸命動いてくれて…私は何もしてない。ずっとエイト君の後を付いていくだけで…ホント無責任だよね」
と、彼女は下を向いて大粒の涙をこぼし、嗚咽する声を必死で抑えていた。
僕の中に沸々と湧き上がる彼女を泣かせた生徒会に対しての怒りと、彼女を抱きしめたい欲望を同時に抑えながら僕は言った。
「遠藤さんは悪くない。僕は僕の意思で演劇部に入ったんだ。でも遠藤さんが傍にいなかったら僕だって何もできないよ。一緒にいるとそれだけで心強いんだ」
これって、告白になってないよな。ここで振られたりしたらシャレにならない。僕も一緒に泣いてしまう。
「この間の演劇を見て本当にマジで感動したんだ。正直言うと、それまで演劇って興味なかったし、あんまりいいイメージも持ってなかったんだけど、あの遠藤さんのお姉さんの劇団を見て…」
そのとき、僕の頭に昨日の雷のような電光が走った。
(劇団だ)
僕は立ち上がってうつむいている遠藤さんの前にしゃがみ込んだ。
「遠藤さん、まだ劇団が残ってるよ!」
「劇団?」
彼女は僕の言っている意味がよくわからなかったのか、涙を拭いて聞き返した。
「そう、劇団を作るんだ! この学校の生徒だけで集まって出来た『劇団演劇部』を作るんだ。そして、学園祭で発表する。部活動じゃなくて劇団活動なんだよ。偶然同じ学校の生徒だけで集まって、たまたま学園祭が近くにあったから公演するだけ。これなら生徒会も口が出せないはずだよ!」
去年の秋に、受験する予定だったこの高校の学園祭を見学しに来たことがあった。そのときにボランティアの有志団体がリサイクルショップを開いているのを見かけたのだ。過去に前例があることなら生徒会も認めざるを得ないはずだ。


