いったい朝の幸せはどこに行ってしまったのだろう。
クラスからは孤立し、全校生徒の前で相田先輩に僕が演劇部だと公言され、唯一の心の救いだった遠藤さんはその先輩のもの。逆転サヨナラどころか、コールドゲームで終わっていた。
外を見ると、本当に雨が降り始めている。(どうせなら学校もコールドゲームになって放課後になる前に全員帰宅命令とかが出ないだろうか)
しかし、そんな僕の願いも虚しく(当たり前のことだが)放課後はやってきてしまうのだった。
「それじゃ、行こっか」
遠藤さんの優しい誘いも男子からの視線と相田先輩のことを差し引くと、マイナスにしかならない。
いっそのこと本当に転校してしまったらどうだろうかとも考えたが、無理して私立に入れてくれた親のことを思ったら、できるわけがなかった。
足取りが重い。
「楽しみだねぇ。私さ、嬉しくって相田先輩にエイト君が入ること、もう言っちゃったんだよね」
そう言う遠藤さんの言葉で更に重くなる。
彼女から出た『相田先輩』という単語の頭に『私の彼氏の』という言葉を勝手につけて余計に落ち込んだ。
「ここが部室だよ」
一階廊下の一番奥、あまり使われていない階段の横に演劇部の部室があった。
ドアの前には学校創設当初から掛けられていそうな歴史ある木の看板に、歴史とはかけ離れた似合わない丸文字で『演劇部』と書かれていた。
遠藤さんがポケットから鍵を取り出し、扉を開けて
「ようこそ、演劇部へ」
と、屋敷にいる執事のような動きをして僕を中へ招きいれた。
部室は教室の半分より少し狭いくらいで左右の壁には大きな棚が敷き詰められ、窓のところには分厚いカーテンがかかっていた。
そのカーテンの前にホワイトボードが置いてあり、部室の中央は大きな長机がスペースを支配していた。棚には大量の落書きとシールが貼ってあって、棚の上は木材なんかが飛び出している。とても演劇の練習ができる場所のようには思えない。
「ここで、練習すんの?」
クラスからは孤立し、全校生徒の前で相田先輩に僕が演劇部だと公言され、唯一の心の救いだった遠藤さんはその先輩のもの。逆転サヨナラどころか、コールドゲームで終わっていた。
外を見ると、本当に雨が降り始めている。(どうせなら学校もコールドゲームになって放課後になる前に全員帰宅命令とかが出ないだろうか)
しかし、そんな僕の願いも虚しく(当たり前のことだが)放課後はやってきてしまうのだった。
「それじゃ、行こっか」
遠藤さんの優しい誘いも男子からの視線と相田先輩のことを差し引くと、マイナスにしかならない。
いっそのこと本当に転校してしまったらどうだろうかとも考えたが、無理して私立に入れてくれた親のことを思ったら、できるわけがなかった。
足取りが重い。
「楽しみだねぇ。私さ、嬉しくって相田先輩にエイト君が入ること、もう言っちゃったんだよね」
そう言う遠藤さんの言葉で更に重くなる。
彼女から出た『相田先輩』という単語の頭に『私の彼氏の』という言葉を勝手につけて余計に落ち込んだ。
「ここが部室だよ」
一階廊下の一番奥、あまり使われていない階段の横に演劇部の部室があった。
ドアの前には学校創設当初から掛けられていそうな歴史ある木の看板に、歴史とはかけ離れた似合わない丸文字で『演劇部』と書かれていた。
遠藤さんがポケットから鍵を取り出し、扉を開けて
「ようこそ、演劇部へ」
と、屋敷にいる執事のような動きをして僕を中へ招きいれた。
部室は教室の半分より少し狭いくらいで左右の壁には大きな棚が敷き詰められ、窓のところには分厚いカーテンがかかっていた。
そのカーテンの前にホワイトボードが置いてあり、部室の中央は大きな長机がスペースを支配していた。棚には大量の落書きとシールが貼ってあって、棚の上は木材なんかが飛び出している。とても演劇の練習ができる場所のようには思えない。
「ここで、練習すんの?」


