眼鏡を中指でクイッとあげるベタなポーズをかました中央の男子生徒は、一見すると短髪で爽やかなイメージだが、堅苦しい真面目そうな雰囲気を漂わしていた
すいませんでした」
一人が代表して機敏に頭を下げると、遊んでいた生徒たちはおずおずと屋上を後にしていった。
「今のは二年生か?」
「はい。教室が一番上の階ですから、校庭まで出るのを面倒くさがっているようです」
爽やか系の質問に答えたのは、黒髪ロングヘアの、これもまた眼鏡をかけたキレイなお姉さんだ。
その後ろに下僕みたいなのも二人いる。もちろん、眼鏡は標準装備だ。
(眼鏡クラブ?)
とかアホなことを考えていると
「國井会長、もうそろそろ生徒会室に戻りましょう」
と、下僕Aが言った。
演劇部のイメージに中学も高校も大差がないのと同じで、生徒会もさほど代わり映えはしないらしいが、二年生のビクつき様からすると、結構な権力を持っているのかもしれない。僕の中学はもっと緩かった気がする。そもそも生徒会の人を文化祭などの行事以外で見たことがなかった。
そういう意味では演劇部と全く同じだ。
「そうだな。あいつと約束の時間だ」
爽やか系生徒会長がまたベタなポーズをかまし生徒会の集団が降りていくと、屋上は元の喧騒に戻っていった。
近くでお弁当を食べている女子の集まりが口々に生徒会の陰口を叩いている。
屋上ヒーローショーの幕が閉まり、昼食を食べ終わった僕が一息ついていると、今度はジャージ姿のヒョロッとした感じの男子が、屋上に上がってきた。
周りに人がいないところまで歩いていくと一人で柔軟体操をして、それからシャドーボクシングのようなことを始めた。ボクシングというよりあの動きは拳法だ。
また女子の集団がヒソヒソと話している。確かにあの動きは怪しい。
左右に細かくパンチを繰り出し、ハイキック。後ろ回し蹴りに、空中二段蹴り。
やっている本人はマジっぽいけど、傍から見る限りでは、かなり滑稽だ。
「おおっ!」
だけど突然、屋上に歓声が沸いた。
彼が手を後ろについて華麗なバック転を決め、すかさず今度は手をつかずにバック中を決めたからだ。
すいませんでした」
一人が代表して機敏に頭を下げると、遊んでいた生徒たちはおずおずと屋上を後にしていった。
「今のは二年生か?」
「はい。教室が一番上の階ですから、校庭まで出るのを面倒くさがっているようです」
爽やか系の質問に答えたのは、黒髪ロングヘアの、これもまた眼鏡をかけたキレイなお姉さんだ。
その後ろに下僕みたいなのも二人いる。もちろん、眼鏡は標準装備だ。
(眼鏡クラブ?)
とかアホなことを考えていると
「國井会長、もうそろそろ生徒会室に戻りましょう」
と、下僕Aが言った。
演劇部のイメージに中学も高校も大差がないのと同じで、生徒会もさほど代わり映えはしないらしいが、二年生のビクつき様からすると、結構な権力を持っているのかもしれない。僕の中学はもっと緩かった気がする。そもそも生徒会の人を文化祭などの行事以外で見たことがなかった。
そういう意味では演劇部と全く同じだ。
「そうだな。あいつと約束の時間だ」
爽やか系生徒会長がまたベタなポーズをかまし生徒会の集団が降りていくと、屋上は元の喧騒に戻っていった。
近くでお弁当を食べている女子の集まりが口々に生徒会の陰口を叩いている。
屋上ヒーローショーの幕が閉まり、昼食を食べ終わった僕が一息ついていると、今度はジャージ姿のヒョロッとした感じの男子が、屋上に上がってきた。
周りに人がいないところまで歩いていくと一人で柔軟体操をして、それからシャドーボクシングのようなことを始めた。ボクシングというよりあの動きは拳法だ。
また女子の集団がヒソヒソと話している。確かにあの動きは怪しい。
左右に細かくパンチを繰り出し、ハイキック。後ろ回し蹴りに、空中二段蹴り。
やっている本人はマジっぽいけど、傍から見る限りでは、かなり滑稽だ。
「おおっ!」
だけど突然、屋上に歓声が沸いた。
彼が手を後ろについて華麗なバック転を決め、すかさず今度は手をつかずにバック中を決めたからだ。


