琉雨は感情的になって叫ぶ。

『兄さんはアイツの代わりにされただけじゃないかっ。

それに久遠の当主は父さんを裏切って…殺した。

なのに、どうしてなんだよっ』

「…複雑な事情があるんだ」

男は苦々しげに吐き捨てた。

彼は首をめぐらせて、琉雨をねめつける。

「いいか、忘れろ琉雨。遥斗のことはもう忘れるんだ。」


しばらく、沈黙が流れた。