「あ~.......今日は何か気分が乗らない」


朝から取り掛かっている解読作業も、資料を手に持ってるだけで、一向に進んでいない。


「ソル様?.......少し気分転換にお庭を散策されては如何ですか?新鮮な空気を吸い込み、綺麗な花々をご覧になれば、気分も変わりましょう」


「.......そうだね。それじゃあ少しだけ行ってこようかな」


「ソル様!お部屋を出られる時は、お召換えを」


ステーシアはニッコリ笑って、ジャラジャラと重そうな衣を広げて見せた。


「.......げっ」


散歩に行くと言った手前、着替えを断る事も出来ず、ソルはあっと言う間に動きずらい衣で全身を固めらた。

軽装で動き回れるのは、自分の部屋だけだと約束していたし、何しろステーシアが久しぶりの正装に張り切って準備を始めたので、文句も言えなかった。


「あ~重い.......ステーシア、少しやり過ぎじゃないかな?髪飾りとかこんなに必要?」


「ソル様、何を仰っておられるのです?周りの側室様をよくご覧なさいまし、それに比べたらソル様は半分にも満たない軽装で御座います!キルバル様の唯一の寵妃なのですから、もっと豪華に着飾っても誰も文句は言いません。寧ろ質素にすれば、キルバル様が侮られるのですよ?何本簪を減らしたとお思いですか?」


「ご.......ごめんなさい」


「分かって戴ければ宜しいのです」