「コルトーは.....」


「ここに眠ってるよ...........何にもないこの場所にね。一度離れたら分からなくなってしまいそうで、どうしても帰れずに居るのよ...........仕方が無い事なのにね…」


泣く資格なんて無いって分かってるのに、涙が次々と溢れて、地面を濡らしていく。


「最後まで一緒に居てくれてありがとうね。コルトーも喜んでるよきっと...........」


「...........ごめんなさい...............ごめんなさい...........何にも出来なくて.......私は.......私は......コルトーを見殺しにしました...........うぅっ..........」


嗚咽で途切れ途切れになりながら、必死に懺悔をする。

崩れる様に膝を着き、まだ掘って真新しい土の小山に手を置いた。


「...........私らフジャン(奴隷)はこれが日常なんだよ。罪を犯したかどうかの真実なんて、デルガにゃどうでもいい事さ。あの子は人一倍正義感が強かった。フジャンの生き方をちゃんと教えてなかった私の責任さ。どうしようも無い事で気に病まないでいいんだよソル」


「.....................どうしようも無い事なんかじゃない...........こんな普通...言い訳ないっ!!」


「ソル...........そりゃ、あたしだって悔しいよ.......悔しくて、悔しくて、身が引きちぎれそうだよ.......同じ人なのに、どうしてあんな酷い事が出来るのか.......どうしてあたしはフジャン(奴隷)として生まれてきたのか。遡ってフジャンの子として産んでしまった自分を責めるしかないじゃないか.......うぅ.......」


涙を流し、自分を責める様に震えながら強く拳を胸に打ち付ける彼女の姿に、心が強く震える。


気がつくと私は空に向かって大声で叫んでいた。


「死者の魂を弔う神殿も、墓石も、花さえもここには無い!!太陽だけは誰にでも平等に降り注ぐのになぜっ!!太陽の神、レルーガ神に問う!!人は皆、平等に生きては行けないのか!!身分によって差別されなければ生きていけないのか!!私は今日、レルーガ神に誓う!!必ずや、皆に幸福が降り注ぐ世に変えてみせる!!コルトー待ってて!必ず実現して、又ここに来るから!!」


涙が枯れるまで沢山泣いたら、後は前に進むだけ。

私はこれから自分が進むべき道を、亡き友の墓前で固く誓った。

今の自分には、それしか手向ける物が無かった。


「必ず…約束する」